2006.6.20 “お国柄”“イタリア流”
今回もワールドカップ日記である。17日に行われたグループリーグE組の第2戦、イタリア対アメリカ戦について。
初戦を圧勝、完勝したイタリアだったが、この第2戦はどうだったか。まず問題は、1時間前に終わった同組のチェコ対ガーナ戦で、チェコがよもやの敗戦をきっしたことである。これでイタリアが勝てば、限りなく予選通過に近づく。それを考えながらの一戦となった。
試合は、初戦を負けて後がないアメリカに、序盤から攻められて押され気味にスタート。しかしイタリアにはよくあることで、心配はなし。そして前半22分、ピルロからのFKをジラルディーノがヘッドで合わせて先制点を取ったイタリアだった。
ところが5分後の27分、アメリカのセットプレーのボールをザッカルドが自分のゴールに蹴りこんで、なんとオウンゴール。同点になってしまった。
その後はアメリカのペースとなり、再び押され気味。そんな中若いデロッシが相手に肘打ちを食らわせて、レッドカードの一発退場。イタリアは一人少なくなりさらに押されてきた。そこで中心選手のトッティを早くも交代させて、ガットゥーゾを投入。これが大正解で、流れを押し戻した。
このガットゥーゾのような選手が日本にはいない。中盤から右に左に、前に後ろにと動き回って、相手の攻撃の芽をすべてつぶす。スライディングタックル、体当たりなど反則すれすれのプレーの繰り返し。圧倒的な運動量を誇る、いわゆる“汗かき屋”“壊し屋”である。所属するACミランでも彼の替わりはいない。いわば世界一の守備的MFである。身長は低く、ひげ面、1年中いつも闘志満々。日本代表しか知らない人は一度彼のプレーをみてほしい。そうすれば「彼のような選手が中盤にいてくれたら、、、」と思うことだろう。
話を戻して、ガットゥーゾを入れて流れを押し戻したイタリアに逆に幸運が訪れた。アメリカの選手が前半終了間際と、後半2分に2人退場。これで一人少なかったイタリアが、なんと1人多い状態になり、大チャンス。あとは1点でも2点でも取って、きちんと守れば終了。私でなくてもイタリアのファンなら誰でもそう思ったことだろう。
ところが問題はここからだった。例のイタリア特有の“悪い癖”が出たのである。9人のアメリカは何度も防戦一方になっていた。つまり総攻撃でつぶしにいけば、イタリアの実力からして、何点でもとは言わないが1、2点は軽く取れていたはずである。それをゆったりとボールを回しながら、時折シュートするというお気楽ムード。それでもチャンスになるのだが、誰も決めない。段々と時間が過ぎてゆく。そうして残り5分くらいまで来た。普通ならこのあたりで、必死になって点を取りにいく。ところがここでも総攻撃にも猛攻にもいかないのだ。「別に引き分けでもいいじゃないか」という感じ。そのまま試合終了だった。
確かに引き分けでも勝ち点4で一応首位で最終戦を迎える。しかし最終戦は2位の勝ち点3の強豪チェコとの直接対決。さらに同じく勝ち点3のガーナが最終戦のアメリカに勝てば、勝ち点6。またアメリカも最終戦の結果次第で突破もある。4チームどこが上がってもおかしくない大混戦。首位などととてもいっていられない状況なのである。
もちろん彼らはそれを知っている。知っていてもアメリカ戦で決めてしまおうとはしない。これこそ“お国柄”であり“イタリア流”。私などが考えるようには深刻に思っていないのである。日本人には理解できないと思うが、「予選で本気になどならない」という戦い方。その結果ピンチが来てもそれはそれで良いのであろう。また最終戦がチェコでもなんとも思っていないフシもある。つまりは「いざとなれば本気を出せば良い」程度に思っているのだろう。
これはワールドカップに限らず、毎年のチャンピオンズリーグのイタリアのチームの戦い方もそうなのである。この“お国柄”“イタリア流”に慣れるまでは、私もかなり不思議に思ったし、いらいらもしたのだが、最近は慣れてきた。
ともあれ最終戦次第では予選落ちの危機。ここをどう戦うかは見物である。多分やはり必死にはやらないであろう。同時進行のもう一つの試合の経過を見ながら、チェコの大将のネドベドと話し合いながらやるように思う。予選をそれこそ必死に戦うことが、選手にも国民にも“当然”である日本人には信じがたいことだろうが、これが強豪イタリアの真実。目に見える戦いと、強さとは別なのである。
その日本の第2戦、クロアチア戦については、詳しい感想など書かない。もちろんしっかりと見たが、感動も何もない試合だった。相変わらず中田と中村だけが合格点。あとは全部ダメ。何も変わっていなかった。ただクロアチアが弱かっただけである。ボクシッチ、ボバン、スーケル、スタニッチ、ヤルニのいた頃のクロアチアは何処にいってしまったのだろうか。寂しいメンバーであり、弱かった。ボクシッチ、ボバンが2人いれば、それだけで4対0だったろう。
今大会は東欧が弱い。ルーマニア、ブルガリア、スロベニアは出場できず。セルビアモンテネグロ、ポーランドは早くもグループリーグ敗退、クロアチアもこの有様。かつての強さを知っているだけに、残念である。
このグループリーグで今のところ感動したのはトリニダード・トバコがスウェーデンと0-0で引き分けた試合とコートジボアールが1-2で負けたオランダとの試合。共に勝てなかったが、ドワイト・ヨークやドログバの戦いは実に感動的であった。もちろん彼らの状況や心情を知っているからこそである。それに比べれば日本代表などは何の感動も無いのである。
さて、あと少しで予選は終わり。決勝トーナメントが楽しみである。(No64 了)風花良